2008年02月06日

いきなり結論!戦後林政のあやまち-1-

「あなたは森林整備は必要と思いますか?」
(思う,分からない,思わない)・・・・・というアンケートがあったらどれに○をつけますか?
おそらく,大方の人が「思う」に○をするのではないか。森林整備は必要ないという回答として「思わない」を選択する人がいたら,きっとその人は,日本の森林の現状によほど詳しいか,若しくは森林に全く無関心であるかのいずれかであろう。
いきなり結論!戦後林政のあやまち-1-


これは,岡山県が作成した保安林制度100周年記念誌「岡山県治山事業のあゆみ」に掲載されている池田村(現総社市)宍粟地区の明治32年のはげ山の写真である。
こんな山を放置すると降雨の度に雨裂浸食(ガリー)が進み,ますます山地は荒廃するし,下流は流出した土砂に埋まることとなる。
いきなり結論!戦後林政のあやまち-1-

これは同じ箇所を5カ年かけて治山事業で山腹工事(荒廃した山腹斜面に等高線上に水平の溝を設置し,そこに柴等の有機物で階段を作り縦浸食を防止すると共に,階段上にマツとヤシャブシなど肥料木を植栽し森林復元を図る工事)を実施した明治37年の写真である。
いきなり結論!戦後林政のあやまち-1-


これは,時代は50年以上経過した昭和31年の丸亀市本島の荒廃状況である。
これも このまま放置すると下流に土砂は流れて災害のもとになるだろうし,なにしろ森林が成立しないままでは森林の公益的機能はおろか景観上も瀬戸内海国立公園のど真ん中として多いに問題がある。
だから,治山工事という森林法で規制され森林所有者の負担によらない行政執行によって森林復旧=森林整備が行われてきた。
いきなり結論!戦後林政のあやまち-1-


これは,はげ山の一歩手前「荒廃移行林地」という区分で管理されていた荒廃地の写真である。

どうして こういう事態になっていたのか?
台風災害で土砂崩れが起きてこうなったわけではない。
これらは,いずれもいわゆる「1960年」以前の写真・状況である。つまり,燃料・肥料革命以前の日本の森林の実態である。「過剰利用」の典型・・・・毎日の炊事・風呂の熱源,製塩業のための燃料源,農業のための有機物供給源・・・ひどくなると根っこまで 木だけでなく草の根までおがして持ち帰る生活だった。そのなれの果てが,こうしたはげ山を生んだ。



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この記事へのコメント
森林コミッションの研修会場より〜
19人の受講者の中で私と岡山の県職員さんだけがこの名前を聞いたことあると。
そんな中で、森林コミッションがどこまでお勉強できるのか不安だわ。
森林ボランティアさんたちも、広い視野とフレキシブルな心を持たないといけないと思います。
それに、平日に研修なんて、いかんわ。まつぼっくりがした土日研修はほめてもらえました。
酔っぱらってしんどいです。さすが高知です
Posted by ももいろどんぐり at 2008年02月06日 21:16
せき悪林地の「せき」っていう字は「瘠」という字で,手書き文字入力だと出てくるけど「せき」からは変換できません。
「瘠」は漢和辞典で調べると「地味が悪いこと」という意味で,痩せ地を意味しています。

ももいろどんぐりさんは ひよっとしたら 下手な森林科学科の大学生よりは博学になっているかも知れない。

よっぱらったぁ? うらまやしい(●^_^●)(●^_^●)
Posted by quercusquercus at 2008年02月06日 22:20
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